目次

1.健康食品とは1, 2, 3, 4

健康食品とは、消費者庁、厚生労働省ともに、「健康の維持・増進に役立つ食品」のことを指した食品と示されています。この健康食品の中には、国の基準を満たした「保健機能食品」というものがあり、これらは食品の機能性をうたうことが出来ます。

いわゆる「健康食品」のホームページ|厚生労働省から引用

この保健機能食品に分類される食品は、上記の図に示されているように、機能性表示食品および栄養機能食品、特定保健用食品の3種類となります。この保健機能食品に含まれない健康食品は機能性をうたうことはできません。

2.保健機能食品の広告表現について5, 6, 7, 8

保健機能食品と呼ばれる健康食品は機能性をうたうことが出来ますが、広告やWebサイト等で情報発信する際には注意が必要です。発信した情報の内容において、消費者に誤認を招いたり、健康の維持・増進の範囲を超えてしまったりするような情報の発信をしてしまったりすると、不当景品類及び不当表示防止法 (景品表示法) や健康増進法に抵触する場合があります。そこで、この章ではこの2種類の法律について紹介します。

2.1.不当景品類及び不当表示防止法 (景品表示法)

景品表示法は、消費者が過大な広告表現につられて、その広告に見合わない質の悪い商品を購入し、不利益を被ることを防ぐための法律です。「宣伝や広告などを使用し事実と異なる認識をさせ、購入させること」と「商品を購入すると、抽選券や商品、サービスなどがついてくるとうたいい、消費者の判断を鈍らせ購入させること」等を取り締まる法律です。

2.2.健康増進法

健康増進法は、国民の健康の重要性が増大していることを受け、国民の健康の推進に努めるために施工された法律です。この法律における、広告表現に関する条項は、第三十二条であり、「何人も食品を販売する際に著しく事実と相違する事又は著しく人を誤認させる表示をしてはならない」と示されています。

3.取り締まりの事例9, 10, 11, 12, 13

この章では、実際に消費者庁に取り締まられた事例の一部を紹介します。

・事例1 豊胸効果サプリメント~合理的な根拠なく販売~ 2023/1/24公開

豊胸効果サプリメントを、個人のインスタグラムや、アフィリエイトサイト (個人ブログサイトのようなサイト) を用い、個人の意見として宣伝・広告を行い、販売していた。消費者庁が景品表示法の規定に基づき合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、当該期間内に当該資料を提出しなかった。

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事例1 豊胸サプリ(景品表示法違反)

・事例2 消臭剤~根拠不足で販売~ 2023/1/20公開

消臭剤を自社webサイト、TVコマーシャル、YouTubeで広告を行い、商品のパッケージに注意書きとして「使用環境で、菌・ウイルス・カビ・ニオイ除去効果は異なります」と記載し販売していた。消費者庁が合理的な根拠の提出を求めたところ、提出された資料が合理的な根拠を示すものではなく、注意書きも一般消費者が表示から受ける本件商品の効果に関する認識を打ち消すものではないとした。その結果、本商品は、景品表示法違反となり、課徴金を支払うこととなった。

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事例2 消臭剤 (景品表示法)

・事例3 フルーツジュース~誤認表示~ 2023/1/18公開

原材料の大半をメロン以外の果汁を使用したフルーツジュースを、メロンのイラストや「100%」のような言葉をパッケージに用いて販売していた。このパッケージが原材料の大部分がメロン果汁かのようにとらえられるとして景品表示法違反となった。

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事例3 フルーツジュース (景品表示法)

・事例4 トマト酢 ~特定保健用食品の誇大表示~ 2016/3/1 公開

特定保健用食品として認定されたトマト酢生活を用いた広告で、本来は「本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です」と表示しないといけないにも関わらず、「血圧を下げる」と言った許可表示と大きく異なる形で広告・宣伝し販売していた。これは許可されている表示ではなく、さらに、高血圧は一般的に薬物治療を含む治療でなければ改善が難しく、国民の健康の保持増進に重大な恐れがあるとして、健康増進法違反で勧告された。

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事例4 トマト酢 (健康増進法)

事例 品物 違反内容
1 豊胸サプリメント 誇大宣伝・広告で景品表示法違反
2 消臭剤 根拠不十分で景品表示法違反
3 フルーツジュース パッケージで消費者に誤認を与えるため景品表示法違反
4 トマト酢 国民の健康の保持増進に重大な恐れがあるとして健康増進法違反

上記以外の事例については、消費者庁が以下のサイトで公開しているのでご覧ください。

執行状況2022年度|消費者庁

4.誇大広告におけるSNS・アフィリエイトに対しての法的措置13, 14, 15

前章の実例1にあったSNS・アフィリエイトに関して、誇大広告における法的措置について紹介します。

現代では、インターネットが発達しSNSやアフィリエイトサイトのような個人が管理・運営しているコンテンツが商品の販売促進で重要性を増しています。SNSやアフィリエイトサイトの掲載内容はあくまでも個人からの情報発信であるため、誇大広告をしたとしても、商品やサービスを販売する企業側もSNSを利用し情報発信している者やアフィリエイター側も法律に抵触しないと考える方もいるかと思います。

しかしながら、2022年12月5日に消費者庁から公開された「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」にて、以下のように告知されています。

「このようなアフィリエイトサイト上の表示について、広告主がその表示内容を具体的に認識していない場合であっても、広告主自らが表示内容を決定することができるにもかかわらず他の者であるアフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合など、表示内容の決定に関与したと評価される場合には、広告主は景品表示法及び健康増進法上の措置を受けるべき事業者に当たる。」

引用:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について

この告知文書では、商品やサービスを販売する企業がSNSを利用し情報発信している者やアフィリエイターに宣伝・広告を依頼する場合でも、景品表示法及び健康増進法の規制の対象になりうるということが示されています。加えて、SNSを利用し情報発信している者やアフィリエイター側も、商品やサービスを供給している企業と「共同で商品やサービスを供給している」と認められる場合は、景品表示法の対象になり、また、「共同で商品やサービスを供給している」と認められない場合でも、「何人も」虚偽誇大表示をしてはならないと定める健康増進法上の措置を受けるべき者に該当するということが示されています。したがって、何人も宣伝・広告を行う場合は注意が必要です。

この告知文書の詳細はこちらからご覧ください。
健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について

5.まとめ

現代では、インターネットの普及により、容易に消費者が情報を取得できるようになり、消費者は情報の正否を評価する事が難しくなってきました。それに伴い、消費者への不利益を防ぐために、取り締まりも厳しくなりつつあります。したがって、企業は、商品の広告表現には細心の注意をはらい、消費者に魅力的かつ正確な情報を届けるよう努力することが求められます。

6.オルトメディコの行政対応支援

弊社、株式会社オルトメディコでは専門のコンサルタントや行政書士、弁護士、医学博士でチームを組み、行政対応をトータルで支援しています。食品CROとして培った経験を活かし、機能性表示食品の届出代行はもちろん、医薬部外品の申請支援や特別用途食品関連申請代行なども行っております。ご相談は無料ですので、お気軽にお問合せください。

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7.脚注