シリーズ『おしえて論文作成』では、論文作成における留意点を紹介していきます。
教えて論文作成 Part 4では、センテンスが長くなってしまったときの対応方法をご紹介します。

1.前回のおさらい
前回は「パラグラフの構成を考えよう」の後半としまして、パラグラフ中でのトピックの展開とまとめ方についてお話しました。
★前回のコラムは、こちら↓★
https://www.xn--79q34w.com/staff-blog/2023.01.10.1761/
文やパラグラフの最初に位置するトピックセンテンスは読者が最も注目する場所ですので、数字や固有名詞などの具体的な情報を盛り込み、読者の興味を引きましょう。また、読者が理解しやすくなるよう、1文で与える情報は少なめにし、論理的に文脈を組み立てるようにしましょう。論理的に情報を提示するためには、意味のまとまりを考慮し、理解しやすく分割する必要があります。コンセプトが徐々に具体的になるように情報を提示することや、長い話や重要な話題に移る際はパラグラフを分割することが有効です。
また、パラグラフの締めくくりは冗長にならないように注意しましょう。/
今回は、長いセンテンスの分割方法についてお話し致します。

2.なぜ長いセンテンスを書いてしまうのか?
前回、パラグラフでは意味のまとまりを考慮し、理解しやすく分割することが大切であるとお話ししました。しかし、パラグラフを構成する1つ1つのセンテンスが長いと、その効果も半減してしまいます。読者の立場になって考えると、上に示したように、さっと1回読んだだけで理解でき、論理展開を追いやすいセンテンスが読みやすいと感じるのではないかと思います。
では、なぜ書く立場になると長いセンテンスを書いてしまうのでしょうか?
その要因として、難しい概念を入れようとすること、論理的な展開に欠けること、難しい言い回しを使おうとしてしまうことなどが挙げられます。
<Cause~長いセンテンスを書いてしまう3つの要因~>
- ① 難しい概念が含まれる
- ② 論理的展開に欠ける
- ③ 難しい言い回しで語数が多くなる
1つのセンテンスの長さは、一息で読めるかを目安として、おおよそ25語程度に留めると読みやすいと言われています。

3.センテンスを短くすることのメリット
センテンスを短くすることのメリットを3点挙げました。
<Point~センテンスを短くすることのメリット~>
- ① 加筆や順序の入れ替えなど、修正が容易
- ② 読者の注意を引き付けられる
- ③ 理由や手順を整理しやすい
1つ目は、加筆や順序の入れ替えなど、修正が容易になるということです。1つ1つのセンテンスが短いと、加筆してもセンテンス全体が長くなり過ぎず、センテンスの順序の入れ替えも容易です。また、センテンスを統合する必要があるときも、編集が簡単です。
2つ目は、センテンスが短くなると、必然的にキーワードを繰り返すことになるため、読者の注意を引き付けられるということです。キーワードを繰り返し使うことは、テクニカルライティングの技法の1つであり、そうすることで、読者はキーワードを頼りに、ロジックの流れを追うことができます。
3つ目は、理由や手順を整理しやすいということです。研究の目的や方法を記述する際、理由や手順を採用した根拠を補足すると、センテンスが長くなりがちです。そこで、実際に行ったことと、その理由や根拠を別のセンテンスに記述することで、読者が理解しやすくなります。
このように、1文で与える情報は少量にしながら、コンセプトが徐々に具体的になるようにセンテンスを配置することで、読者が理解しやすい文脈にしていくことが重要です。

4.接続詞句に関する分割テクニック
続センテンスを短くすることのメリットをご理解いただいたところで、ここからは長いセンテンスを分割するテクニックをご紹介致します。その3つのテクニックは、以下の通りです。
<Point~論理的に情報を展開するためのテクニック~>
- ① andやas well asなどの情報を追加する接続詞句を用いたセンテンスの分割
- ② 主題を補足するwhich節の分割
- ③ 接続詞と動詞のing形をつないだセンテンスの分割
1つ目は、andやas well asなどの情報を追加する接続詞句を用いたセンテンスの分割です。
<例文1>
- 修正前:All samples were collected at 9 AM and then stored at ….
- 修正後:All samples were collected at 9 AM. They were then stored at ….
上の例文1のように、これらの語句の前でセンテンスを区切ることができます。分割した後半のセンテンスには、追加情報があることを暗示する語句を入れるのも良いでしょう。
<例文2>
- 修正前:The coastal area which was characterized by high levels of ….
- 修正後:… the coastal area. This area is characterized by high levels of ….
上の例文2のように、whichを使わずに、thisを単独もしくはその後に出てくる名詞と組み合わせて主語としたセンテンスを分離することができます。
3つ目は接続詞と動詞のing形をつないだセンテンスの分割です。センテンスが長くなってしまう場合は、動詞を適切に活用させて新しいセンテンスを始めた方が読みやすくなります。
<例文3>
- 修正前:Using the software can … thus saving them money.
- 修正後:Using the software can …. Such software saves them money ….
こちらの例文では、1つ1つのセンテンスが短くなり読みやすくなっただけでなく、キーワードである”software”が繰り返し登場することで、読者の注意を引き付けられるかたちになりました。
ここまで紹介したテクニックは、適用できない例外も存在しますので、使用する際はその都度文法上問題がないか確認するようにしてください。

5.記号に関する分割テクニック
最後に、記号に関するテクニックを3つご紹介致します。
1つ目は、コンマを用いたセンテンスの分割です。
<Point1~コンマを用いたセンテンスの分割~>
- ① 複数の事柄を列挙・並列するときに用いる
- ② コンマの多用はセンテンスが長くなるほか、思考の流れが分断される原因になるため、要素の関連性や意味のかたまりを考慮して適宜センテンスを分割する
- 修正前:Using the software can … thus saving them money.
- 修正後:Using the software can …. Such software saves them money ….
1つ目は、コンマを用いたセンテンスの分割です。コンマは複数の事柄を列挙したり、並列したりするときに用いますが、多用するとセンテンスが長くなるほか、思考の流れが分断される原因となります。センテンス内で取り上げている要素の関連性や意味のかたまりを考慮し、こちらの例文のように適宜センテンスを分割することが大切です。
2つ目は、セミコロンやコロンを用いたセンテンスの分割です。
<Point2~セミコロンやコロンを用いたセンテンスの分割~>
- ① 現代英語ではセミコロンはあまり使われない傾向にある
⇒物事を列記してお互いの関連性を示すときだけ - ② 新しい情報を追加するために用いる場合は、ピリオド (.) に置き換えて新しいセンテンスを始めた方がよい
2つ目は、セミコロンやコロンを用いたセンテンスの分割です。セミコロンは現代英語ではあまり使われない傾向にあり、物事を列記してお互いの関連性を示すときだけに用いられます。セミコロンやコロンは、新しい情報を追加するために用いられることが多いですが、センテンスが長くなる場合はピリオドに置き換えて新しいセンテンスを始めた方が読みやすくなります。
最後は、括弧を用いたセンテンスの分割です。
<Point3~括弧の使用~>
- ① 具体例を短くリストアップするときのみに使う
最後は、括弧を用いたセンテンスの分割です。括弧の中の情報が多くなるとセンテンスが長くなってしまいますので、具体例を短くリストアップする際などに使いましょう。
今回は、パラグラフの中での情報の置き方についてお話しました。
次回は、「Part 5 長いセンテンスを分割しよう」というテーマでお話しします。
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