むくみは日常生活の中でも一時的な症状として確認される状態の一つであり、下肢のむくみは「だるさ」や「ずきずきとした痛み」を招くことがあります。今回は、弊社で試験を実施した『むくみの軽減』に対する届出についての情報をお伝えします。

●機能性評価指標

本ヘルスクレームでは、脚のむくみ量、むくみ感のvisual analog scale (VAS)、顔のしわ、ふくらはぎ周囲径が機能性評価指標として用いられていました (表1)。このうち主要アウトカムとして測定された脚のむくみ量とVASの評価方法についてご説明します。

脚のむくみ量

本ヘルスクレームでは、下腿体積の測定を同日中の午前と午後に2回実施し、午前から午後までの下腿体積の増加量を算出することで、「むくみ量」として評価していました。下腿体積は、水を満たした下腿体積測定器に片側下腿を浸し、排出される水の量1 gを1 cm3として換算し算出していました 1)

むくみ感のVAS2)

VAS法では、100 mmの物差しスケールの両端を「最も健康な状態」と「最も悪い状態」とし、自分の状態を任意の点にチェックし評価します。本ヘルスクレームでは、「顔のむくみを感じる」を調査項目として100 (右端) mmを「最悪の状態」と設定し、被験者がチェックした点までの距離 (mm) を自覚症状として評価していました。『関節の動きをサポート』する届出についてご紹介した第7回届出Newsでは、VAS法を使用した痛みの程度の評価についてご紹介しておりますので、是非そちらもご覧ください。

●「脚のむくみ」への影響の左右差について

届出C223の文献では左右それぞれの脚でむくみ量を測定していましたが、被験食品摂取時とプラセボ摂取時を比較して有意差が認められたのはむくみ総量 (両脚のむくみ量の合算) および右脚のみの結果であり、左脚のみの測定では有意差が認められませんでした3)。届出の際の説明資料および論文中では左右差が生じた理由について以下の点を挙げていました。

  • 被験者の中には「左脚の方がむくみやすい」「左脚の方がブーツを履きづらい」など、むくみの症状が左右で異なると感じる者がいた
  • 利き脚・軸脚と反対脚との間の機能上の差異や、それに伴う使用頻度の差異により筋肉量・筋力が左右で異なる
  • 姿勢の癖がむくみの出方に影響する

上記の理由から、脚への効果の左右差はあるものの、被験食品の有効性を充分に説明できるものと考えられます。

●表示しようとする機能性

機能性表示食品の届出等に関するガイドライン4)では、疾病の治療効果または予防効果を暗示する表現が禁止されています。本ヘルスクレームでは「一時的に自覚する顔のむくみ感やふくらはぎのむくみ」が対象であり、疾患症状と関連するむくみは対象とされていません。そのため、「表示しようとする機能性」において、届出C223では「一過性でない、脚以外の部分がむくむ、その他体に異常がある場合は医師の診察をお勧めします」という旨が記載され、届出F174では「一時的に自覚する」むくみが対象であることが強調されています (表1 赤字部分)。これにより、疾病の治療および予防が期待されるものではないことを消費者に向けて注意喚起しています。

弊社では、評価方法などに関する不安や悩みなどを出来る限り解消するため、過去の知見や関連する文献を網羅的に調査し、より質の高い臨床試験を目指して適切なプロトコルをご提案します。さらに、消費者庁への届出代行や消費者庁からの問い合わせへの対応など、臨床試験から受理後の関連業務までの「トータルサポート」に取り組んでおりますので、ぜひお気軽にご相談ください。引き続き、皆様にご満足いただけるような情報をお伝えしていきますので、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

表1. 『むくみの軽減』 届出製品の臨床試験に関する学術論文の試験概要一覧

【参考文献】1–5)
  • 1)椎塚ら, 足関節体積測定器の再現性評価と、新たな足関節体積測定器の開発. 体力科学. 2010;59(6):769.
  • 2)村田ら, 高齢者における主観的健康感アセスメント法の検討: Visual Analogue Scaleの信頼性と妥当性. 久留米大学心理学研究. 2004;3:89–98.
  • 3)風間ら, 赤ブドウ葉乾燥エキス含有製剤の経口摂取による下肢のむくみ軽減効果. 応用薬理. 2014;83(1/2):1–7.
  • 4)消費者庁. 機能性表示食品の届出等に関するガイドライン (平成27年3月30日付け消食表第141号). 改正令和2年4月1日 (消食表第123号).
  • 5)中村ら, 健常な日本人男女を対象としたレモン由来酵素処理ヘスペリジンによる顔のむくみ低減効果の検証 一ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験―. 薬理と治療. 2019;47(2):211–28.

この記事をPDFでダウンロードする