機能性表示食品制度とは、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。1

例えば、オリゴ糖では「ビフィズス菌を増やして腸内の環境を良好に保つので、おなかの調子を整えます。」といった表現を商品パッケージに表示することができます。この他、様々な成分で「ストレスを緩和する機能があります。」や「血糖値の上昇をおだやかにすることが報告されています。」などの表現が実際に届出されています。

ここでは機能性表示食品を届け出るにあたってのチェック項目を解説します。

目次

1.機能性表示食品とは

機能性表示食品は食品表示基準 第二条 第一項 第十号にて、次のように定められています。

●食品表示基準 第二条 第一項 第十号2

疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を除く。)に対し、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示をする食品(健康増進法(平成十四年法律第百三号)第二十六条第一項の規定に基づく許可又は同法第二十九条第一項の規定に基づく承認を受け、特別の用途に適する旨の表示をする食品(以下「特別用途食品」という。)、栄養機能食品、アルコールを含有する飲料及び国民の栄養摂取の状況からみてその過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして健康増進法施行規則(平成十五年厚生労働省令第八十六号)第十一条第二項で定める栄養素の過剰な摂取につながる食品を除く。)であって、当該食品に関する表示の内容、食品関連事業者名及び連絡先等の食品関連事業者に関する基本情報、安全性及び機能性の根拠に関する情報、生産・製造及び品質の管理に関する情報、健康被害の情報収集体制その他必要な事項を販売日の六十日前までに消費者庁長官に届け出たものをいう。

また、消費者庁では機能性表示食品の特徴を次のようにまとめています。3

  • 1.未成年者、妊産婦(妊娠を計画している方を含む。)及び授乳婦を除いた、疾病に罹患していない方を対象にした食品です。
  • 2.生鮮食品を含め、すべての食品(一部除く。)が対象となっています。
  • 3.安全性及び機能性の根拠に関する情報、健康被害の情報収集体制など必要な事項が、商品の販売前に、事業者より消費者庁長官に届け出られます。
  • 4.特定保健用食品とは異なり、国が安全性と機能性の審査を行っていません。
  • 5.届け出られた情報は消費者庁のウェブサイトで公開されます。

機能性表示食品は機能性を表示できる保健機能食品のなかでも、機能性表示の種類が豊富です。最近では免疫機能の維持を謳った届出が受理されており、現在でも様々な機能性表示がチャレンジされています。機能性表示を検討している方はぜひ参考にしてください。

2.機能性表示食品の届出までの流れ

ここからは、そんな機能性表示食品を届け出る流れを解説します。

2.1.機能性表示食品の対象食品となるかを判断する4

まず、届け出ようとしている商品が対象の食品かを判断します。具体的には次のチェック項目に該当する食品で機能性表示を届け出ることはできません。

  • 疾病に罹患している者、未成年者、妊産婦 (妊娠を計画している者を含む。) 、授乳婦を対象に開発された商品
  • 機能性関与成分が明確でない食品
  • 機能性関与成分が、厚生労働大臣が定める食事摂取基準に基準が定められた栄養素である食品
  • 特別用途食品 (特定保健用食品を含む。) 、栄養機能食品、アルコールを含有する飲料
  • 脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類 (単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る。) 、ナトリウムの過剰な摂取につながる食品

2.2.安全性の根拠を明確にする4

次は届け出ようとしている商品が食べても安全かを明確にします。具体的には次のいずれかで安全性を評価します。

  • 喫食実績による食経験の評価
  • データベースの2次情報などを用いた情報収集
  • 最終製品又は機能性関与成分における安全性試験の実施

まず、食品または成分が十分な食経験があるかを評価します。商品であれば年間の販売量から推測したり、成分であれば出荷量から推測したりして喫食実績が十分であることを証明します。食経験が不十分な新規の食品添加物等である場合や、それを含んだ食品である場合は、二次情報として海外含めた複数の安全性情報データベースより当該安全性情報を調査して安全であることを証明します。データベースなどでも安全性が評価できない場合は、臨床試験により安全性を評価します。

さらに機能性関与成分の相互作用が認められる場合は、販売することの適切性を証明する必要があります。具体的には、次の2点について確認を行います。

  • 機能性関与成分と医薬品の相互作用の有無を確認して、相互作用が認められる場合は、販売することの適切性を科学的に説明できること
  • 機能性関与成分を複数含む場合、当該成分同士の相互作用の有無を確認し、相互作用が認められる場合は、販売することの適切性を科学的に説明できること

2.3 生産・製造及び品質の管理体制を整える4

次は生産・製造について衛生管理・品質管理の観点から安全性が確保できる体制を整え、説明する必要があります。

  • 加工食品における製造施設・従業員の衛生管理などの体制/生鮮食品における生産、採取漁獲などの衛生管理体制
  • 規格外製品の流通を防止するための取組の体制
  • 機能性関与成分及び安全性の担保が必要な成分に関する定量試験の分析方法など

以上のような体制を整える必要があります。特に加工食品においてはHACCPシステムに沿った管理体制、錠剤やカプセル形状のサプリメント形状の食品ではGMP管理体制が望ましいとされています。

2.4.健康被害の情報収集体制を整える

また、健康被害の発生の未然防止と拡大防止のために情報収集し、報告を行う体制を整備しなければなりません。例えば、お客様相談室などを設置するといったことが挙げられます。

消費者、医療従事者などから健康被害の報告を受けるための体制を整えること

2.5.機能性の根拠を明確にする

機能性表示食品制度のメインである機能性については、次のどちらかの方法で科学的根拠示します。

  • 最終製品を用いた臨床試験の実施 (特定保健用食品と同等の水準)
  • 最終製品又は機能性関与成分に関する研究レビュー (システマティックレビュー)

2.6.適正な表示を行う

最後に容器包装に適切な表示が行われているかを確認します。

食品表示基準、同基準に関する通知及びQ&A、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」に基づいて表示すること

3.消費者庁への届出

ここまでの準備が終わったら、次の資料を揃えて消費者庁へ届け出ます。

  • ① 当該食品に関する表示の内容
  • ② 食品関連事業者名及び連絡先などの食品関連事業者に関する基本情報
  • ③ 安全性及び機能性の根拠に関する情報
  • ④ 生産・製造及び品質の管理に関する情報
  • ⑤ 健康被害の情報収集体制
  • ⑥ その他必要な事項

これらの資料を販売する60日前までに消費者庁長官に届け出る必要があります。ただし、記載漏れなど形式上の不備があった場合や機能性に疑義があると判断された場合は届出資料が差し戻されます。差し戻された場合は、その指摘に対して修正または科学的根拠のデータを追加して再度届け出て、消費者庁が届出資料に不備がないと判断すれば受理されます。
届出の受理後は届出番号が付与されます。事業者はこの届出番号をパッケージに印字して商品を販売することができます。また、届出番号が付与されると、届出データベース上に商品情報が開示されます。

また、販売後は健康被害などの情報収集を行い、流通防止や販売禁止措置などの対応ができるように注意しましょう。

4.まとめ

ここまで、機能性表示食品の届け出るまでの概略を解説しました。実際に機能性表示食品の届出を行う場合は、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」並びに食品表示基準などをご覧ください。

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参考