以前、対数変換について、取り扱い方法やメリットをまとめました。
https://www.xn--79q34w.com/pdf/20210329.pdf
対数変換は、ばらつきが大きく正規分布をとらないデータを正規分布に近似させることができます。
そのため、正規分布でないデータの平均値を比較したい場合に、検出力を向上させることができます。
しかし、対数変換したデータをそのまま集計し、対数値の平均値を示すと本来の値からかけはなれているので介入の効果を評価しにくいといった問題があります。
そこで、対数変換した場合は幾何平均を採用します。
2つのデータがある場合の算術平均は ・・・
で示すことができるのに対して、幾何平均は ・・・
で算出することができます。
それでは、なぜ対数値の解析結果を幾何平均で示すのかというと「対数変換したデータの算術平均 = 対数変換前の幾何平均を対数変換したもの」だからです。
具体的に見ていきます。aとbの2つのデータを考えてみます。
このデータを対数変換するとlog aとlog bとなります。
log aとlog bの算術平均を計算すると・・・
と計算できます。よって、対数変換したデータの算術平均が対数変換前のデータの幾何平均を対数変換した値になることがわかりました。
次に群間差です。CONSORTなどのガイドラインによると適切な解析結果の示し方として、群間差を示す必要があります。しかし、対数変換した解析結果の群間差を幾何平均に変換して、群間差とすることができません。
具体的に見ていきます。1群のaとbの2つのデータ、2群のcとdの2つのデータを比較する場合を考えてみます。
まず、対数変換した値の群間差は以下の通りです。
計算を進めてみると ・・・
となります。よって、対数変換した値の算術平均の群間差は、指数変換すると幾何平均の比になることがわかります。つまり、対数変換した値の統計解析における群間の効果を見る場合は、差ではなく幾何平均の比で評価する必要があるということです。
ヒト臨床試験では、思った以上に対数変換をする場合が多いかと思います。そのような時でも幾何平均を上手く使って適切な解析結果を報告していきましょう。
ヒト臨床試験 (ヒト試験) で得られる結果は、様々な誤差を含んでいます。この誤差を小さくすることで介入効果を増大させることができます。オルトメディコは、多分野の専門家を有するため、様々なアプローチにより誤差を最小化する試験運営が可能です。引き続き、皆様にご満足いただけるような高品質なヒト試験を提供させていただきますので、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
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