1 概要
現在に至るまで、様々な臨床研究に関する論文が発表されてきました。しかし、統計の適用、分析、解釈、報告、研究デザインに誤りがある論文が散見されています。多くの誤りは、高度な統計手法ではなく、基本的な統計処理にあります。本稿は、2013年に公開された「Basic Statistical Reporting for Articles Published in Biomedical Journals: The “Statistical Analyses and Methods in the Published Literature” or “The SAMPL Guidelines”」の内容に基づき、臨床試験の統計関連業務に携わる全ての方に向けて統計報告の仕方のヒントをまとめます。
2 数値と記述統計の報告
本稿では、「Basic Statistical Reporting for Articles Published in Biomedical Journals: The “Statistical Analyses and Methods in the Published Literature” or “The SAMPL Guidelines”」の「数値と記述統計の報告 (Reporting numbers and descriptive statistics)」についてまとめます。
2.1 記載内容
「Basic Statistical Reporting for Articles Published in Biomedical Journals: The “Statistical Analyses and Methods in the Published Literature” or “The SAMPL Guidelines”」には数値と記述統計の報告について以下のような記述がなされています。
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Display data in tables or figures. Tables present exact values, and figures provide an overall assessment of the data.[42,43] |
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2.2 数値と記述統計の報告を記載する際の留意事項
●データの報告形式
得られた測定値が正規分布に従う場合、平均を中心に左右対称な金型の分布となり、平均値±1SDの間に母集団のデータの68%、平均値±2SDの間に母集団のデータの96%が存在することが期待されます。このため、平均値と標準偏差がわかれば、母集団のデータの特徴をつかむことができるので、平均値と標準偏差を記載する必要があります。また、平均値±SDという記載形式は、上記で説明したように、母集団のデータが存在する範囲を示すことになるため、平均 (SD) の形式を使用する必要があります。
一方、得られた測定値が正規分布に従わない場合、データの分布は、左右対称ではなく、左もしくは右に裾が長い分布になる可能性があります。このため、平均値と標準偏差を用いるとデータの特徴に関して誤解を招くことがあるため、中央値と四分位数を記載する必要があります。
●SEについて
SEとは、標本平均の値が母平均に対してどの程度ばらついているかを表すものです。このため、SDのように標本データのばらつきを表す意味はないため、データセットのばらつきを表すためにSEを使用することは不適切となります。
3 記載例
- ・Mean (SD) = ●● (●.●)
- ・Mean (SE) = ●● (●.●)
- ・Median (IQR) = ●● (●-●)
- ・Min = ●●
- ・Max = ●●
4 参考文献
- Lang TA, Krishan A, Altman DA. Basic Statistical Reporting for Articles Published in Biomedical Journals: The “Statistical Analyses and Methods in the Published Literature” or “The SAMPL Guidelines”. The EASE Science Editors’ Handbook. 2013: 1-8. (https://www.equator-network.org/wp-content/uploads/2013/03/SAMPL-Guidelines-3-13-13.pdf)
- 池田郁男. 統計検定を理解せずに使っている人のためにⅠ. 化学と生物.2013; 51 (5): 318-325
- 池田郁男. 統計検定を理解せずに使っている人のためにⅡ. 化学と生物.2013; 51 (6): 408-417
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