みなさま、おはようございます。統計解析課の柿沼です。はじめましての方ははじめまして。数年ぶりにブログを書いてみました。
昨年の11月より隔月で、生物統計学の情報を弊社のメルマガでご紹介させていただくことになっておりましが、今月よりブログ→メルマガ→ブログ→・・・のように交互で私たち統計解析課が情報を発信していきます(*・ᴗ・*)وガンバリマス
なので、今回が第3回目になるのでバックナンバーが気になるかたは下記URLを是非チェックしてください(p`・ω・´q)
【第2回生物統計学】https://www.届出.com/pdf/20200120.pdf
【第1回生物統計学】https://www.届出.com/pdf/20191125.pdf
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さて!
【第3回生物統計学】は臨床試験における盲検性の維持について統計学的観点から紹介していきたいと思います!
機能性表示食品の臨床試験において原則、二重盲検デザインにすることが求められています。盲検化を行う理由は、バイアスを制御するためです。
臨床試験は、様々な場面でバイアス (Bias) が生じるため、バイアスの制御方法を常に考えておく必要があります。バイアスを0にすることは不可能なので、できる限り最小にする努力が求められます。バイアスを小さくする方法の1つとしてランダム化 (Randomization) が挙げられます。しかし、ランダム化を行っても割り当てられた介入が何であるか知っていることによりバイアスが生じます。そこで、盲検化 (BlindingまたはMasking) し、割り当てられた介入がわからない状態にすることでバイアスを小さくできます。
このように、盲検化をデザインに組み込むことで試験の品質向上につながります。ちなみに二重盲検という名前がつけられていますが実際に盲検化は、被験者、医師、協力者、データマネジメント担当者、統計解析担当者、モニター、試験責任者など複数の関係者に対して行うので三重、四重にもなっています。
今回は、臨床試験においてデータの集計や統計解析の過程で発生する盲検性への影響についてまとめてみました。まず、リスクのあるポイントは、「集積したデータの管理」と「中間解析」の過程が挙げられます。臨床試験を実施し、集積したデータの変動などを観察すると容易に割り付け情報を予見することができます。中間解析においても同じで解析結果から割り付け情報を予見することができます。
まとめるとこんな感じです↓
リスク | 対策 |
---|---|
集積したデータから 割り付け情報が予見できてしまう。 |
● 試験期間中のデータモニタリングに制限をかける。 ● 動きが特徴的な評価項目は徹底的にマスキングする。 ・・・etc |
中間解析結果から 特定の行動を意識的、 無意識的に行ってしまう。 |
● 解析データセットや結果へのアクセス制限を設ける。 ● アクセスに関する規定を設ける。 ・・・etc |
食品の臨床試験では、多重性や期間などの問題から中間解析が実施されることはほとんどないと思うので、データを集積している段階での盲検性に気をつけていきたいですね!!今回、紹介したポイント以外にも食品の管理状態やモニタリングの過程でも盲検性が破れるリスクがありますが、それらの対策についてはまたの機会に皆様にお届けします。
機能性表示食品の品質向上にむけて盲検性が維持できる体制を整えていきましょう。
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