前回の届出Newsに引き続き、今回もアメリカ食品医薬品局 (Food and Drug Administra-tion; FDA) が発行するガイダンスについてご紹介します。今回は、「植物性ステロール/スタノールエステルを含む食事と冠動脈性心疾患_植物性ステロール/スタノールエステルの適格な基準」についてお伝えします。

『心血管に対する機能性評価 (血液マーカー)』、『心血管に対する機能性評価 (血管機能)』に関する欧州食品安全機関のガイダンスについては、【第37回届出News: 心血管に対する機能性評価 (血液マーカー)】、【第38回届出News: 心血管に対する機能性評価 (血管機能)】、『飽和脂肪酸およびコレステロールと冠動脈性心疾患』、『水溶性食物繊維と冠動脈性心疾患』、『ナトリウムと高血圧』、『特定の食品由来の水溶性食物繊維と冠動脈性心疾患』、『大豆タンパク質と冠動脈性心疾患』に関するアメリカ食品医薬品局ガイドラインについては、【第41回届出News: 飽和脂肪酸およびコレステロールと冠動脈性心疾患】、【第46回届出News: 水溶性食物繊維と冠動脈性心疾患】、【第47回届出News: ナトリウムと高血圧】、【第48回届出News: 特定の食品由来の水溶性食物繊維と冠動脈性心疾患_水溶性食物繊維の適格な供給源】、【第49回届出News: 特定の食品由来の水溶性食物繊維と冠動脈性心疾患】、【第50回届出News: 大豆タンパク質と冠動脈性心疾患】にてご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

●FDAガイダンス

~植物性ステロール/スタノールエステルと冠動脈性心疾患について~1)

本章では、心血管疾患の一種である冠動脈性心疾患の発症リスクの低下と植物性ステロール/スタノールエステルの関係について、述べられています。今回はその中で、植物性ステロール/スタノールエステルの的確な調整方法、食品中の含有量についてまとめました。

① 植物性ステロールエステル

植物性ステロールエステルとは、食用油由来の植物性ステロールの混合物を食品用脂肪酸とエステル化することにより調製されたものです。また、植物性ステロールの混合物は、β-シトステロール、カンペステロール、およびスチグマステロール (合計重量) を少なくとも80%含むこととしています。

FDAは、Unilever United States, Inc.が開発した「Determination of the Sterol Content in Margarines, Halvarines, Dressings, Fat Blends and Sterol Fatty Acid Ester Concentrates by Capillary Gas Chromatography」 (2000年2月1日) に記載された方法で植物性ステロールエステルを測定することができるとしています。
また、この方法を用いることは、アメリカの法律である5 USC 552 (a) および1 CFR part 51に準拠しているとしています。
この方法は、食品安全・応用栄養センター (Center for Food Safety and Applied Nutrition, Office of Nutrition: CFSAN) から入手できます。また、FDAの中央図書館やアメリカの国立公文書館 (National Archives and Records Administration: NARA) で調べることができると述べています。

② 植物性スタノールエステル

植物性スタノールエステルとは、食用油またはクラフト紙のパルプ化過程で得られた副産物に由来する植物スタノールの混合物を食品用混合物とエステル化することにより調整されたものです。また、植物性スタノールの混合物は、シトステロール、カンペステロール (合計重量) を少なくとも80%含むこととしています。

FDAは、McNeil Consumer Heathcareが開発した「Determination of Stanols and Sterols in Benecol Tub Spread」、「Determination of Stanols and Sterols in Benecol Dressing」、「Determination of Stanols and Sterols in Benecol Snack Bars」 または 「Determination of Stanols and Sterols in Benecol Softgels」 (2000年2月15日) に記載された方法で植物性スタノールエステルを測定することが出来るとしています。
この方法を用いることも、5 U.S.C. 552(a)および1 CFR part 51に準拠しているとしています。
また、この方法もFDAの中央図書館やNARAで調べることができます。

最後に、冠動脈性心疾患の発症リスクの低減に寄与する植物性ステロール/スタノールエステルの摂取量について、以下のようにまとめられていました。

  • ① 植物性ステロールエステルは、食品 (スプレッドまたはサラダ用ドレッシングなど) を通常消費される際の基準量あたり0.65 g以上であることが求められています。
  • ② 植物性スタノールエステルは、食品 (スプレッド、サラダ用ドレッシング、スナックバー、ゼリー状の栄養補助食品など) を通常消費される際の基準量あたり1.7 g以上であることが求められています。

弊社では、アウトカムの設定に関する不安や悩みなどを出来る限り解消するため、過去の知見や関連する文献を網羅的に調査し、より質の高い臨床試験を目指して適切なプロトコルをご提案します。さらに、消費者庁への届出代行や消費者庁からの問い合わせへの対応など、臨床試験から受理後の関連業務までの「トータルサポート」に取り組んでおりますので、ぜひお気軽にご相談ください。引き続き、皆様にご満足いただけるような情報をお伝えしていきますので、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

【参考文献】

この記事をPDFでダウンロードする