シリーズ『おしえて論文作成』では、論文作成における留意点を紹介していきます。
「Part 8 研究結果を強調するテクニック」としまして、論文を執筆する際に研究結果を効果的にアピールする方法について紹介いたします。

目次

1.前回のおさらい

前回は「Part 7 [Who+Did+What]の構造を明確にする」としまして、文中で誰が何をしたのかを明確にする方法について紹介しました。

★前回のコラムは、こちら↓★
https://届出.com/staff-blog/2023.02.24.1891/

手順の説明や他の研究の結果、既知の知見に言及する際によく用いられるのが、受動態です。受動態はキーワードを文頭に置くことができるのがメリットですが、主語がわかりにくくなってしまうことがあるので、主語が明瞭になっているか確認するようにしましょう。
また、自分の研究と他者の研究を区別する際には、参考文献を引用したり、著者名を明記したりするなど、情報の出典をはっきりさせることが重要です。文献引用のスタイルは雑誌ごとに異なりますので、投稿規定を確認し、ルールに従って論文を作成しましょう。

2.研究の重要性をわかりやすくする

はじめに、研究の重要性を論文の中でわかりやすく伝える方法についてお話いたします。研究成果の重要性が高くても、強調不足、説明不足によって査読者に理解してもらえなければ、論文として世に出すことはできません。
そこで、投稿前に研究の重要性がちゃんと伝わる書き方になっているか確認することが大切です。専門外の方に読んでいただき、論文の論点が明快か判断してもらうのも良いでしょう。また、文中で重要性を述べている箇所が発見できなければなりませんので、伝達したい情報は読者の目につくところに配置する必要があります。読者はパラグラフの始まりや終わりに注目する傾向がありますので、改行やパラグラフの切り替え、スペースをとることなどで重要な情報が目立つように工夫しましょう。

3.可視化のテクニック

続いて、研究結果を可視化する際のテクニックをご紹介いたします。

<Point~他の部分と違う特徴をつける!~>

  • ① 句読点 (括弧、コロン、感嘆符、疑問符など)
  • ② 余白 (ピリオドやパラグラフの前後の余白)
  • ③ 数字、大文字

人の目は、他の部分と違う特徴があると引き付けられやすいという性質があります。文中では、注目して欲しい箇所にカッコやコロン、感嘆符、疑問符などの句読点余白、数字大文字を活用することで、読者の目を引くことができます。

<Point~情報のまとめ方~>

  • ① 見出し / 箇条書き (読みたい情報を探しやすくする)
  • ② 図表 (視覚的に引き付ける)
  • 短いセンテンスでの表記 (注目されやすく、理解しやすい)

また、情報のまとめ方として、見出し箇条書きを使って読みたい情報を探しやすくすることや、図表を使った視覚的なアピール、読みやすい短いセンテンスでの表記が有効です。 ただし、これらのテクニックについては、投稿先の投稿規定で認められているか、事前に確認するようにしてください。

4.言葉遣いのテクニック

最後に、言葉遣いのテクニックをご紹介いたします。

<Point~研究の重要性は簡潔に!~>

  • ① 不要な言葉は削除する
  • ② 重要な研究結果を示すときは、できるだけ具体的な語句を使う
  • ③ 形容詞や副詞を使って、重要性や肯定的な気持ちを表す
    例: significantly, remarkably, important, valuable

研究結果について述べる時、重要性を簡潔に示すことが重要です。不要な言葉は削除し、できるだけ具体的な言葉を使うようにしましょう。significantly, importantなどの形容詞や副詞を適宜使用し、研究結果の重要性や肯定的な気持ちを表すことも有効です。

また、読者が研究結果を理解するのに十分な情報を提供することも重要です。論文の読者には、研究分野に詳しくない人もいるかもしれませんので、自分の主張は具体的な言葉で表現し、さらに例を挙げて説明すると、理解しやすくなります。また、データの妥当性を説得するため、自分にとって不利な点についても正面から対峙し、論理的に問題を解決することが大切です。

今回は、研究結果を効果的にアピールする方法を紹介しました。
次回は、「Part 9 研究限界の書き方」としまして、研究の限界を考察することの重要性や、否定的な結果の上手な提示方法についてお話しします。ご清聴ありがとうございました。