目次

今回はシステマティックレビューについて解説していきます。

1.システマティックレビューとは、

システマティックレビューとは、研究テーマに対する最良のエビデンスを取得するための網羅的な文献収集や研究結果の評価を行う一連の工程1のことを言います。簡単に言うと、文献を収集し、自身が考えている研究内容について、それぞれ評価し解析したものです。

2.システマティックレビューの特徴

システマティックレビューの最大の特徴は、エビデンスレベルが高いことです。エビデンスレベルとは、科学的根拠の強さのグレードのことで、下の図を参考に、上に行けば行くほど科学的データに基づいた文献になります。

例えば、人を対象にしたランダム化比較試験は、できるだけ介入の効果を偏りがない方法で実施した試験2, 3のため、エビデンスレベルが高く、科学的データに基づかない専門家等の意見はエビデンスレベルが低いとされています。
話を戻しますが、システマティックレビューは、研究テーマに沿って、対象物、介入物、比較方法、結果をそれぞれ明確にし、文献を調査・採択するため、システマティックレビューで採択する文献自体のエビデンスレベルが高くなり、システマティックレビューのエビデンスレベルも相対的に高くなります4

3.システマティックレビューの流れ5

一般的なシステマティックレビューの流れは、「研究テーマの設定」、「網羅的な研究論文の収集」、「研究論文の評価」、「データを用いた評価表の作成」、「結果の解釈」の流れで行うことが多いと思います。

3.1.研究テーマの設定

自身の研究テーマで、対象者はだれか、介入物は何か、どうやって比較するか等、疑問点を明確化することで決定していく。

3.2.網羅的な研究論文の収集

特定の雑誌のみや特定の機関だけ等、出版社などの偏りがないように、出版されていない文献も含めた研究文献を収集する。

3.3.研究論文の評価

収集した文献を試験のデザインごとに分けて評価していく。ポジティブな結果だけではなく、ネガティブな結果も記載しているか、バイアスリスクが最小化されているか等を考慮しながら妥当性を評価する。

3.4.データを用いた評価表の作成

前述した対応を実施し、質の悪い研究を除いた後、総体として結果の収集の上、評価表などを作成する。

3.5.結果の解釈

得られた結果から研究テーマに対する結果の解釈を行う。

例えば、Aという成分の長期摂取で肝臓の機能サポートの健康食品の開発を考えているとします。
流れとしては、まず研究テーマを明確化します。研究テーマは「A成分が肝機能に与える影響」といったものになります。研究テーマを明確化したら次にどのような文献を調査するかになります。今回の場合は、対象物は健常成人、介入物はA成分、比較方法はバイアスなどを考慮して二重盲検ランダム化比較研究、もしくは二重盲検クロスオーバー比較研究、結果については、長期摂取での効果を見るため長期摂取後の検査ポイントの肝機能の結果になります。このようにそれぞれの項目ごとに考えていきます。
次に、この内容の論文や雑誌、出版されていない研究も含めて収集します。
収集後、比較方法ごとに分け、バイアスのリスクが最小化されているか、ネガティブな結果も記載しているかなどを含めて評価します。
評価後、A成分の効果のデータをまとめ、結果の解釈を行います。

4.システマティックレビューの活用方法

最近、活発なのは機能性表示食品のエビデンスデータとしての活用だと思います。厚生労働省に機能性表示の届出をする際、販売する商品そのものの機能性の科学的根拠が必要になります。この科学的根拠は専門家などの意見のようなエビデンスレベルが低い物だと科学的根拠としては弱く、届出が受理されません。そのため、販売する製品を用いたランダム化比較試験の結果もしくは、その成分のシステマティックレビューが必要になります。販売する製品を用いたランダム化比較試験を行う場合、試験実施から結果が出るまでに費用と時間がとてもかかるため、簡単にはできません。そのため、その成分のシステマティックレビューを用いて届け出を行う企業が多いのが現状になります。システマティックレビューを用いた場合、作成に時間はかかりますが、臨床試験を行うより時間はかかりません。また、金額面でも臨床試験を行うよりも費用を抑えることが出来ます。さらに、1度作成してしまえば、長期間その商品の販促に繋がりやすい点もシステマティックレビューを活用する理由の1つと考えられます。

5.オルトメディコの行政対応支援事業

弊社、株式会社オルトメディコは、これまでに数多くの臨床試験を行ってまいりました。現在、UMIN-CTRの臨床試験登録数はNo.1でございます。その経験を活かし、臨床論文やシステマティックレビューの作成、それらを活用した機能性表示食品の届出代行も数多く受託しております。また弊社行政対応支援事業のホームページで無料のシステマティックレビューを公開しております。「どうやって文献を検索するのか」や「システマティックレビューはどうやって作成するのか」等、ちょっとした疑問でも構いませんので、お気軽にご相談ください。相談無料です。

オルトメディコホームページ
https://www.orthomedico.jp/

届出.comホームページ
https://www.xn--79q34w.com/

6.脚注
  • 1.藤倉雄二:システマティックレビューの考え方.呼吸臨床,2(2): e00010, 2018.
  • 2.鈴木直子,田中瑞穂,佐野友紀,柿沼俊光,馬場亜沙美ら:健康食品の有効性・安全性評価におけるヒト試験の現状と課題 -ランダム化比較試験-.New Food Indust. 62(4): 245–254, 2020.
  • 3.鈴木直子,田中瑞穂,佐野友紀,柿沼俊光,馬場亜沙美ら:健康食品の有効性・安全性評価におけるヒト試験の現状と課題 -クロスオーバー試験-.New Food Indust. 62(10): 735–747, 2020
  • 4.上岡洋晴,折笠秀樹:機能性表示食品 適正な研究レビューのための必携マニュアル.ライフサイエンス出版株式会社, 2016.
  • 5.武田猛:健康食品ビジネス大事典.株式会社パブラボ(東京),2015.