1 概要

症例設計は、公式を用いた方法が一般的に行われています。しかし、公式を用いた症例設計では、簡便に早く見積もれるメリットがある一方、様々な因子を考慮した複雑な統計モデルによる解析には公式がありません。ほとんどの解析には複雑な統計モデルを用いた解析が用いられるので、公式を用いた設計方法では設計の精度が落ちている可能性があります。そこで、本稿では、様々な解析方法にも耐えうる症例設計の方法を紹介します。

2 シミュレーションを用いた症例設計

シミュレーションを用いた症例設計の手順を紹介します。

【手順】
1.プレ試験のデータの分布、αエラー、βエラーを設定する
2.例数を1つ指定する
3.プレ試験のデータの分布をもとに、ランダムデータを発生させる
4.本試験に使用する統計モデルで解析する
5.手順3、手順4を繰り返し、 (有意差がついた回数) / (繰り返し回数) を求める
6.手順2で指定した例数を変え、手順3~手順5を繰り返し行い、検出力が 100 (1-β) %にほぼ一致する例数を求める

3 シミュレーションによる症例設計のメリット・デメリット

シミュレーションによる症例設計によるメリットは、公式にはない複雑な統計モデルを用いた解析における症例設計ができることです。また、様々なデータの分布に対応できるため、症例設計できない事例がないことです。一方、デメリットとして、繰り返し回数は10000回ほど実行することになるので、計算の処理に時間かかることや、プログラムミスをしてしまう可能性があることです。

4 まとめ

シミュレーションによる症例設計は、様々なデータ、様々な統計手法に対して症例設計ができる優れものです。しかし、やっていることが単純なゆえに、症例設計の理論の理解がおろそかになってしまいます。症例設計の意義を理解したうえで実行するようにしましょう。

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