1 概要

臨床試験を適切に評価するためには、完全 (complete),明快 (clear),透明性の高い(transparent) 情報が必要とされていますが、多くの報告者はそれらの重要な情報について明確 (lucid) に完全に記述できているとは言い難いのが現状です。新たな方法論的エビデンスや蓄積された経験の成果として、臨床試験について適切に報告するための指針となるCONSORT2010声明が発表されています。本稿は、臨床試験の報告に携わるすべての方に向けて報告書記述のヒントをまとめます。

2 解析された人数

本稿は、CONSORT2010のチェックリストにある「アウトカムと推定 (Outcome and estimation)」についてまとめます。

2.1 CONSORT2010声明

CONSORT2010声明には解析された人数について以下のような記述がなされています。

Outcome and estimation

17a

For each primary and secondary outcome, results for each group, and the estimated effect size and its precision (such as 95% confidence interval)

17b

For binary outcomes, presentation of both absolute and relative effect sizes is recommended
アウトカムと推定

17a

主要・副次的アウトカムのそれぞれについて、各群の結果、介入のエフェクト・サイズの推定とその精度 (95%信頼区間など)。

17b

2項アウトカムについては、絶対エフェクト・サイズと相対エフェクト・サイズの両方を記載することが推奨される。

2.2 解説

各アウトカムの解析結果は、各群の概要 (イベント数やその分母、測定値の平均や標準偏差など) に加えて、群間差の報告が推奨されています。二値の場合は、リスク比 (相対リスク)、オッズ比、またはリスク差となり、生存時間データの場合は、ハザード比または生存時間中央値の差となり、連続データの場合は通常、平均値の差となります。群間差の信頼区間が重要であり、各群の結果について別々の信頼区間を提示することにあまり意味はないので注意してください。結果は、本文よりも表の方がより明確に示すことができます。
解析結果は、計画されたすべての主要および副次的なエンドポイントについて報告が推奨されます。試験終了後にエンドポイントを選択することは許されません。
主要エンドポイントが二値の場合、リスク比、オッズ比、リスク差を信頼区間を伴って報告することが推奨されます。なぜなら、いずれの指標も単独では効果とその意味を完全には把握できないからです。

3 記載例

記載例は以下の通りです。

*****はXX% (95%CI: XX%~XX%) 減少した。絶対的な差はXX% (95%CI: XX%~XX%) で、推定XX人に△△△△△を摂取させることで、*****を防ぐことができる。

4 参考文献

  • Schulz KF, Altman DG, Moher D; CONSORT Group. CONSORT 2010 statement: updated guidelines for reporting parallel group randomised trials. BMJ. 2010; 340: c332. (PMID: 20332509)

ヒト臨床試験 (ヒト試験) で得られる結果は、様々な誤差を含んでいます。この誤差を小さくすることで介入効果を増大させることができます。オルトメディコは、多分野の専門家を有するため、様々なアプローチにより誤差を最小化する試験運営が可能です。引き続き、皆様にご満足いただけるような高品質なヒト試験を提供させていただきますので、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

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