前回の届出Newsに引き続き、今回もアメリカ食品医薬品局 (Food and Drug Administra-tion; FDA) が発行するガイダンスについてご紹介します。今回は、「食物繊維と癌」についてお伝えします。

●FDAガイダンス

~食物繊維と癌について~1)

a) 低脂肪および繊維高含有穀物製品、果物、野菜の食事と癌のリスクとの関係

癌は、100を超えるさまざまな疾患の集合体であり、それぞれが異常な細胞の急激な成長と、その細胞の拡散によって引き起こされます。癌の発症は、多くの原因と段階があります。遺伝的および環境的危険因子の両方が癌のリスクに影響を与える可能性があります。危険因子としては、特定の種類の癌の家族歴、喫煙、過体重や肥満、アルコール摂取、紫外線またはイオン化放射線、癌の原因となる化学物質への曝露、および食事が挙げられます。
低脂肪で、繊維を含む穀物製品、果物、野菜が多い食事は、いくつかの種類の癌のリスクの低下に関連していることが報告されています。しかし、総食物繊維、繊維成分、およびこれらの食品に含まれる複数の栄養素やその他の物質の特定の役割はまだ完全には解明されていません。ただ、多くの研究では、いくつかの癌に対して、低脂肪および繊維高含有食品の食事がリスクの低下に関連していることが分かっています。

b) 低脂肪および繊維高含有穀物製品、果物、野菜の食事と癌のリスクの重要性

癌は、アメリカにおいて死亡原因の第1位です。直接的な医療費、罹患や死亡による損失を含め、癌による経済的損失は全体として非常に高いとされています。
アメリカの食事は、脂肪が多く、穀物製品、果物、野菜が少ない傾向があります。世界各国における研究によると、植物性食品を多く含む食事を習慣的に摂取している人々は、一部の癌のリスクが低いことが示されています。これらの食事は脂肪が少なく、食物繊維を含み、かつそれ以外にも多くの栄養素が豊富に含まれていることが分かっています。アメリカの食事ガイドラインでは、脂肪摂取量の削減 (熱量の30%未満)、望ましい体重 (標準体重) の維持、果物と野菜 (1日5品目以上)、および穀物 (1日6品目以上) の消費量を増加させることが推奨されています。

c) 低脂肪および繊維高含有穀物製品、果物、野菜の食事と癌のリスクの要件

商品を販売する際は、連邦規則集21巻
§101.142)に定められた要件 (機能性関与成分を含む食品成分の表示の方法、機能性関与成分の適格性および有効性・安全性の表示方法等) を満たすことが求められています。
本ヘルスクレームを謳った食品は、以下の内容を踏まえて記載することとしています。

  • A) ヘルスクレームを謳う食品は、穀物、果物、野菜、またはそれらを含むものとする。
  • B) 連邦規則集21巻§101.623)に記載された「低脂肪」の要件を満たすこととする。(「低脂肪」食品とは、対象となる食品の通常摂取量が30 g以上である時に、脂肪含有量が0.5 g以上3 g以下の時を指すと述べられています。)
  • C) 連邦規則集21巻§101.544)に記載された、栄養素の含有量の要件を満たす必要があるとしています。

また、食品のラベルまたは表示については、以下のような条件を踏まえて、記載することが必要であると述べています。

  • ① ヘルクレームは、低脂肪および繊維を含む穀物、果物、野菜が多い食事が、一部の癌のリスクを「軽減する」または「軽減する可能性がある」と述べることができます。
  • ② ヘルスクレームに疾患名を記載する際は、「一部の種類の癌」、「一部の癌」を用いることができるとしています。
  • ③本ヘルスクレーム謳う場合は、食物繊維を含む穀物、果物、野菜に限定するとしています。
  • ④ヘルスクレームには、癌の発症は多く要因によって発症すること示すこととしています。
  • ⑥ヘルスクレームは、低脂肪および繊維を含む穀物、果物、野菜が多い食事によって、癌のリスクがいかなる程度の減少であったとしても、これらの食品の使用に起因すると説明してはならないとしています。
  • ⑦ヘルスクレーム内には、「繊維」、「食物繊維」、「総食物繊維」という単語を使用することが出来るとしています。
  • ⑧ヘルスクレーム内には、癌への罹患リスクに関連する可能性のある食物繊維の種類を明記することはできないとしています。

d) 低脂肪および繊維高含有穀物製品、果物、野菜の食事と癌のリスクの任意の情報記載

本稿a) およびb) の内容を踏まえて記載することが出来るとしています。
ヘルスクレームを記載する際は、特定の種類の癌の家族歴、喫煙、飲酒、過体重及び肥満、紫外線や放射線、癌の原因となる化学物質への暴露、および食生活の要因等、癌発症に寄与する危険因子を特定することできるとしています。
ヘルスクレームは、農務省 (U.S. Department of Agriculture; USDA) および保健福祉省 (Department of Health and Human Services; HHS) が発行する「Dietary Guidelines for Americans」に準拠していることが求められています。
ヘルスクレームは、アメリカ国内の癌患者数に関する情報を含めて記載することが出来るとしていますが、この情報の出所を明らかにされなければならず、USDA及びHHSが発行する「Dietary Guidelines for Americans」、国立衛生統計センター (National Center for Health Statistics; NCHS)、国立衛生研究所 (National Institutes of Health; NIH) からの最新の情報でなければならないとしています。

推奨されるヘルスクレームの記載例

  • 食物繊維を含む穀物、果物、野菜が豊富な低脂肪食品は、多くの要因に関連する疾患である癌のリスクを低下させる可能性があります。
  • 癌の発症は多くの要因に依存します。食物繊維を含む低脂肪で高繊維の穀物、果物、野菜を含む食事をとることで、一部の癌のリスクを減らすことができます。

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【参考文献】

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